FXでは、お金を増やすこともできますが、当然リスクも存在します。
しかも元本保証がないため、預けたお金が全部なくなってしまうことがあるほか、追証と言って預けていた金額以上の損失を被ってしまい借金を被ってしまう可能性だってあります。
このようなリスクに対して対処するためには、事前にどのようなリスクが存在するのか知っておくことが重要です。
あらかじめリスクを理解していれば、その対策も立てることができます。
FXに取り組む上でのリスク
では、FXでは具体的にどのようなリスクが存在するのでしょうか?
- 為替相場の変動のリスク
- 金利変動のリスク
- システムリスク
- 流動性のリスク
これらを一つずつ詳しく見ていきましょう。
「為替相場の変動リスク」
私たちは為替の変動を狙って利益を狙う訳ですが、もし自分の持ったポジションと逆の方向に変動すれば、それは損失となります。
この損失は損切りを設定することである程度自分でコントロールできるほか、万が一ロスカットを設定していなくとも、証拠金維持率が一定以下になることで強制ロスカットが働き、大抵は自己資金の一部を失うだけで済みます。
しかし、為替相場に非常に大きな急変動が起きた場合や、決済できない土日を挟んでの持ち越しで、金曜日の終値から月曜日の初値が大きく乖離する窓空きなどか発生した場合、損切りや強制ロスカットが正常に働かず、証拠金以上の損失を負ってしまう可能性があります。
これを追証といって、損失の不足分をFX会社に支払わなくてはならなくなるのです。
「金利変動のリスク」
FXにはスワップポイントというものが存在します。
スワップポイントとは、通貨の金利差による利益のことを指し、高金利通貨を買い、低金利通貨を売るようなポジションを持つと金利の差額を毎日もらうことのできる仕組みを意味します。
例えば、豪ドル円の買いポジションを次の日まで持ち越した場合、日本よりオーストラリアの金利が高いため、日本円を売ってオーストラリアドルを買ったことで、その金利差を次の日に持ち越した場合に貰うことができるのです。
しかし、金利差で利益をあげられるということは、損失になることもあるということです。
先ほどとは逆に低金利通貨を買い、高金利通貨を売るようなポジションを持ったまま、翌日に繰り越した場合、金利差分のスワップポイントを支払うことになります。
もっとも、金利差のスワップポイントが原因で多額の損失を負うことは考えにくいですが、損失の発生するリスクとしては十分に理解しておく必要があります。
「システムリスク」
システムリスクとはFX業者側のシステムに何らかの問題が生じ、不利益を被ってしまうリスクを指します。
具体的には、システム障害により新規注文や決済ができなくなることがあります。
これは決して非常時だけに起こる珍しいことではなく、ある程度FXをやっている人であれば大抵一度は経験したことがあるレベルで起こり得ます。
しかし、このようなシステムリスクによって生じた損失は大抵FX業者に補填してもらうことはできず、泣き寝入りしなければいけなくなります。
そのため、このようなリスクを回避するために、前もってシステムリスクが過去に起こっていないような業者を選ぶことや、FX口座を複数用意しておき、いざという時に別の口座で反対売買をすることによりリスクを回避できるような体制を準備しておくことが重要になります。
「流動性のリスク」
流動性のリスクとは、取引が薄くて自分の注文が、指定した価格で通らないリスクのことを指します。
例えば、ある価格でドル円を100万通貨買おうとした場合、どこかにその価格でドル円を100万通貨売りたい人がいなければ買いたくても買うことができません。
この場合、買いたい人は、売りたい人が少ないために、自分の希望の価格より高い価格で買わざるを得ないことになります。
このように、取引が薄いために十分に取引ができなくなる状態のことを流動性のリスクといいます。
流動性のリスクを回避するためには、取引が薄い日本時間早朝などの時間は取引を避け、取引が活発になる欧米時間に取引することが大切です。
このように、FXには様々なリスクがありますが、リスクを十分に理解し、前もって対策を立てることで、多くのリスクは回避することができます。
次の項では、初心者が最も犯しやすく、致命的な損失を負う可能性のある失敗を避けるためのポイントを紹介します。
FXで勝ち残るために必須なリスク回避のためのポイント
FXではほとんどの人が最終的に負けると言われています。
なので最初のうちはなんとしても生き残ることが重要になってくるのですが、いきなり取り返しのつかない失敗をするまえに、
これだけは絶対におさえておくべきコトを紹介します。
むやみに取引しすぎると陥る「ポジポジ病」
初心者が特に注意しなければならない事項としてこのポジポジ病があります。
そもそもポジポジ病とは、「トレードしてポジションを常に持っておかないと落ち着かない精神的な状態」を指します。
これは非常に危険な状態ですので、病に例えられてポジポジ病なんて呼ばれています。
一つ忠告しておかなければなりませんが、FXで長期的に勝つためには必ずトレード戦略が必要になります。
何となくトレードして勝ち続けられるほど甘い世界ではありません。
しかしFXには「24時間誰でも簡単に取引可能」という性質があり、これはメリットにもなりますが、戦略性のない適当な取引をも何度もできてしまうという致命的なデメリットにもなるんです。
そんな適当な取引を一日に何度も何度もしていると、戦略を立てない気分での取引を常にしていないと気が済まないというポジポジ病の状態に陥ってしまうのです。
こうなってしまっては資金が尽きてしまうのも時間の問題です。
ではそんな危険なポジポジ病に陥らないためにはどうしたらよいのでしょうか?
その答えは「取引のマイルール作り」です。
「一日に○○回までしか取引しない」
「このチャート型が現れた時しかエントリーしない」
などといった取引のマイルールを設定し、これを遵守することが最も大切と言えます。
マイルールを守って負けたトレードではマイルールを改善すればいいだけですが、マイルールを破って負けたトレードからは改善点を分析することもできず、得る物は何もありません。
適当なトレードによって資金が尽きる前に必ずマイルールを設定しましょう。
決済注文は絶対にずらしてはならない
これは初心者がほぼ例外なく消えていく一番の原因です。
「負けてるけどあと少しだけ損切りせず待ってみよう…」
「まだ利確ラインまで届いてないけど早めに決済しておこう…」
といったように決済注文のラインを手動で動かし始めるのは危険です。
特に損切りラインを動かすのは破滅を意味します。
なぜこれがそんなにも危険な行為なのか、今から説明していきます。
例えばドル円を100円で買っていて、99円で損切り注文を入れていたとします。
そして実際に99円まで価格が下がってしまうと、「もうちょっと待ってみれば上がってくれるかも…」と期待し、実際に99円まで下がっても諦めず損切りしないで放置します。
確かに損切りや利確のポイントを手動で動かすと、勝率が上がります。
なぜなら実際に価格が戻ってくることも多いから。
実際にこの例でもドル円99円まで、はたまた100円まで戻る可能性も十分あります。
しかし何回かに一度は戻ってこない場合が必ず起こります。
この例でいうと、99円で損切らずにいると95円、90円…とどんどん下がる場合です。
そうした場合、もう絶対に損切りできません。
99円ですら我慢して損切りできなかったのに、さらに多額の損失を許容できますか?
こうなってしまっては後はもう神頼みです。
「上がってくれ…上がってくれ…」と神様に祈りながら不安な時間を過ごします。
確かにそこで運よく価格が上昇してくれる場合もあります。
しかし無情にもさらに下がる時が必ず起こります。
そして最後は資金が尽きるまで下落し強制ロスカット。
資金が尽きるだけならまだしも運が悪いと追証でむしろ多額の借金を背負うことに。
この例でお分かりいただけたように、FXにおいて勝率は重要ではありません。
例え99%勝てるとしても、1%でも資金が0になる可能性があるならいずれ必ず負けます。
それまでどれだけ資金を増やしていても、必ず0になる時が来ます。
大切なのは勝率ではなく、資金が一気に0になる可能性のあるトレードを絶対にしない事。
だからこそ負けた時は損切りポイントを動かさずそこで負けを認めることが大切です。
FXに限らず、投資では上手く負ける人が最終的に勝つと言われているように、
上手く損切りすることが非常に重要になってきます。
これは利確においても同じことが言えます。
どれだけ高い確率で勝てていても、細々としか勝てていないと一度大きく負けた時に一気に資金が飛びます。
大切なのは稼げるときに大きく稼ぐこと。
ポジポジ病の項でも述べたように必ずマイルールを設定し、
そこで設定した決済ラインは必ず守るようにしましょう。
ナンピンには要注意
「ナンピン」とは買った後に価格が下がった場合に、
下値でさらに買いましをすることを言います。
この手法はより安い値段で買い増しすることにより、
1単位あたりの平均取得価格を下げることを目的としているのですが、もし価格がその値段に戻らず下がり続けた場合、
致命的な損失を負う原因になります。
これも先ほどの損切りポイントをずらすのと同様、負けを認めていません。
投資の世界において負けを認めないことは破滅を意味する、というのは、先ほどの説明でお分かりいただけたはずです。
なので、自分が思った方向に価格が動かなかったとき、いつか戻るだろうと考えてナンピンするのは非常に危険です。
必ずあらかじめ設定した損失額で損切りするようにしましょう。
スワップを狙った新興国通貨買いについて
この一つ前の項でスワップ金利について説明させていただきましたが、このスワップ金利を狙って新興国通貨を長期で買うのはおすすめできません。
というのも、まず新興国通貨は円、ドル、ユーロといった主要国通貨に比べ不安定で非常に激しい値動きをします。
それだけではなく、スワップを狙っての新興国通貨の長期買いポジションは、ほぼ例外なく最終的に新興国通貨の下落によって多額の損失をだすことになっています。
まずは感情的なトレードを絶対にしないことを意識することが大切
FXというのは綿密な計画・戦略の上で初めて勝てるものであって、寸分の感情がトレーダー生命を左右するということはこれまで再三述べてきました。
とにかく初心者が取引を始める前に意識すべきことは、絶対にやってはいけないことをまず把握し、その上でルールを決めることです。
そうやって計画的にトレードさえできれば多くの初心者の結末である破産を免れ、長いスパンでFXに取り組むことができるようになります。
FXに長い期間挑戦し続けることで初めて「勝てるトレーダー」になれるのです。
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